行き止まりの先
この季節になると思い出す
十代で一人暮らしをしていたあの頃…
住む家をなくし
途方に暮れていたあの時のこと…
小さな子猫を救うように
ある場所が私を受け入れてくれた
毎朝、5時半になると
ピアノの音色と共に
讃美歌の歌が聞こえていたあの場所
中学生の頃
大きなパイプオルガンに囲まれ
毎朝、讃美歌を歌っていた
あの頃を
思い出しながら
毎朝
優しい音に包まれた…
そこに住む人びとは
天使のように微笑み
私の事を知らないのに
何も聞かず
静かに、優しく受け入れてくれた
毎朝、声をかけてくれたが
私は、顔を出す事はしなかった
心の余裕がなかった…
動くことさえ出来なかった
先も見えない
真っ暗なトンネルの中
行き先を見失い
ただ、そこに立ち止まったまま
身ひとつになり何も持たないただの私
わたしがわたしに対話し続けた日々・・・
とことん落ちた
そんな時間を与えてくれたあの場所…
何のお礼も出来ず
皆、笑顔で私を送ってくれたあの日
今、思い返せば
ドン底に落ち何も見えない時
いつも、必ず助けてくれた人がいた
それに気づこうとせず
無いことばかり考えて
本当に大切なものは
すぐそこに落ちているのに
見ようとせず
受け取ろうとせず
無いと思い込んでいた
本当は
たくさんの笑顔と言う名の愛を
もらっていた
ちゃんと受け取ろう
受け取り
溢れた愛は
お返ししよう
花咲く
どんな種を蒔きますか?